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来ない朝

あるところに仲間内でも醜いと評判の一匹のカラスがいました。いつものように独りぼっちで下を眺めていると、とても可愛い人間の少女を見つけたのでした。その少女に一目惚れしてしまったカラスは、次の日から彼女の部屋が見える電線に留まり、毎日少女を見つめていました。一週間もすると少女のほうもカラスに気付き、少しはお喋りをするようになったのです。彼女が何かを欲しがると、カラスはすぐにどこからかそれを用意しプレゼントしていました。ある日少女は言いました。
「もしカラスさんが人間だったら、私たち恋人同士になっていたかもしれないね」

カラスは人間に生まれてこなかった自分を憾みました。そして三日三晩考えた末、ある魔法使いに会いに行くことにしたのです。彼の魔法はとても強力なことで知られていましたが、しかしまた法外な報酬を要求することでも有名でした。
「私を人間の姿に変えてください。一日限りで構いません」
「ほう、これはまた難しい依頼じゃのう。できんこともないが、それなりの金額は覚悟しておろうな?」
「…それが……」
「なんと!用意してないじゃと!?………まあ、よいわ。しかし、その代わりにお主の命をもらうことになろうぞ」
命と引き換えに、一日だけ人間として少女に会える…。カラスは悩みましたが、魔法をかけてもらうことを選んだのでした。
「本当によいのじゃな?」
カラスが頷くと、魔法使いは間髪を容れず呪文を唱えました。

念願が叶ったカラスは急いで少女の家に向かいましたが、留守なのか少女は見当たりません。しかし人間の姿でいられるのはその日だけです。カラスは少女が帰ってくるまで、彼女の部屋が見える場所で待ち続けました。やがて日が沈み、辺りが薄暗くなってきた頃にやっと少女は帰ってきたのでした。部屋の明りが灯るのを待って、カラスは窓から中を覗いてみました。すると、そこには少女とともにひとりの若い男がいたのです。カラスは、体の中から何かが逆流してくる感覚と同時に、下半身から力が抜けその場に座り込んでしまいました。でも、もしかしたら兄妹かもしれないという淡い期待を抱きつつ、もう一度窓を見てみると、比較的薄いカーテンに映るふたつのシルエットは、お互いに重なり合い、そして崩れ落ちるように窓枠の下に消えていきました。

魔法が解け、自分が元の姿に戻ったことにさえも気付かない位、茫然自失状態のカラスの前に現れたのは、あの魔法使いでした。
「哀れよのう……じゃが、約束は守ってもらわにゃならんぞ」
「…こんなことになるとは………」
「お主は夢を見すぎたのかもしれんのう。まあ、終わったことじゃ。何も言うまい」
「…やはり神様などいないのか……」
「神じゃと!?神とはのう…不幸な者の心から生まれ、幸せ者のところへ飛んでいってしまうものなのじゃ。愚かなるカラスよ。お前は数えきれないほどの神を生んできたではないか」
それだけ言うと、魔法使いは迷うことなくカラスの首を刎ねました。

「誰かいるのかしら…」
少女は外が騒がしいことに気付き、窓に手をかけました。
「怪しいやつがいたら危ない。僕が確かめよう」
若い男はそう言い、恐る恐る窓を開けて明りを向けてみました。
「カラスだ。でも、もう死んでいる。どうしてこんなところで…。他に怪しいやつは………うん、大丈夫、いないみたいだ」
「死骸?いやだわ。しかも、カラス?気持ち悪い!もう外はいいの。ねえ…愛しているわ…」

JUGEMテーマ:ものがたり
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    うん

    明日僕は遠くへ行ってしまう
    当分戻って来ることはできないんだ
    君と会う事もできなくなるだろう
    だから僕は君に言った
    「さよなら」って
    君は「うん」と答えた

    いつも君は「うん」が多かったけれど
    やっぱり今日も「うん」なのかい

    卑怯だけれど僕から言う事はできない
    でももし君が止めてくれたなら
    すべてを捨ててもとどまるつもりなんだ
    お願いだから僕を行かせないで
    今日だけは「うん」って言わないで
    もう一度君に聞いた
    「もう会えないんだよ」

    でも君は「うん」なんだね
    涙を流しながらもやっぱり「うん」なんだね

    JUGEMテーマ:想い詩
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